体力づくりと運動強度
岡田 邦夫
大阪ガス(株)健康開発センター 総括産業医
 運動障害を予防する点から、また効果的な体力づくりの点からも運動強度はきわめて重要な因子です。現在、スポーツ医学の分野では、運動強度は、生理的強度、心理的強度、物理的強度の3つが指標となっています。この3つをうまく組み合わせて運動を実践することによって、所期の目的を達成することになります。生理的強度とは、心拍数、血圧、最大酸素摂取量、基礎代謝
量などがあり、心理的強度は、「楽である」、「ややきつい」、「きつい」などで表されるいわゆるボルグの主観的運動強度尺度があり、物理的強度には、トレッドミルにおける速度・傾斜角度、自転車エルゴメーターにおける負荷強度(WATT)、があります。安全を考慮した運動指導を実施する場合には、少なくとも2つの運動強度指標を用いることが望ましいといえます。運動を指導する立場にある人は、それぞれの運動強度の関連を周知することによって、運動の安全性と効果性を得ることができます。私どもの経験からは、例えば、40歳代を中心として中高年齢者においては、自転車エルゴメーターで2ワット/Kgで50回転/分ですと、ボルグのスケールでは「ややきつい」となります。
 このような関係を熟知することによって、異常な反応が見られれば、心肺機能などに何らかの問題点があるのでは、ということになります。
 また、レジスタンストレーニングにおいても、RM(Repetition Maximum)がトレーニング指導の指標に使われていますが、筋肥大を目的にするのであれば10RM程度、筋持久力を養成するのであれば20RM程度が基準となります。しかし、中高年齢者を対象とした場合には、血圧の変動や、心理的強度を参考にして、リスクを最小限にしたトレーニングプログラムを作成することが望ましいといえます。
 また、疾病を有している場合には、自覚症状(胸痛、下肢痛など)や他覚症状(顔色の変化、チアノーゼなど)なども運動強度を決定する際に重要な因子となるので、注意が必要です。