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21世紀生涯スポーツ社会づくりの提言
医・科学的な面からの健康的な体力づくり
地域生涯スポーツ推進協議会
生涯スポーツ指導者養成講習会
おおさか生涯スポーツコンベンション
大阪府レクリエーション協会
モッピー指導者会
モッピークラブ
障害者スポーツ
21世紀生涯スポーツ社会づくりへの提言
選手と観客の距離
毎日新聞社
編集委員 玉置 通夫
 地域には、それぞれ個性がある。歴史や文化など、その風土が培ってきた独特のものが、その地域の独自性となっているのだ。地域に住む人たちが築いてきた目に見えない文化力を解明することは、地域を知る有力な手がかりになる。
 スポーツは、人間が織りなす営為だ。言い換えれば、文化力の一つと見ることが出来る。社会の共通言語と称される由縁もここにある。
 スポーツにも、地域性がある。文化の一形態であるならば、むしろ当然のことだ。その地域ごとに、スポーツに対する感覚や対応などが異なっている。同じルールによって戦うのがスポーツの基本だが、それでも、地域性はあるのだ。選手、審判などの対応もあれば、観客の反応もある。とくに、観客がかもし出すムードは、試合そのものに影響を与え、選手にも強い刺激を与える場合が多い。
 とくに、関西と関東の差異が際立つのは、観客の対応だろう。プレーそのものに対応して拍手や歓声を送る関東に対し、関西では、個人への歓声や罵詈が目立つ。別の見方をすれば、観客と選手の距離が関東よりも近い。
 各地で試合をするプロ野球の選手に、「東西の観客の差」を聞いたことがある。ほとんどの選手が強調したのは、「関西は観客が近く感じる」という点だった。強力な声援は、失敗した際には罵詈に変わる。だからやりにくい面は多い、としながらも、各選手は、「関西の観客は温かい」と口をそろえた。選手に対する感情移入も、激しいということなのだろう。横浜の出身で、べらんめえ口調が売り物の元日本ハム監督、大沢啓二氏は、南海(現ソフトバンク)時代を回想して、「大阪の客は選手と距離が近く、罵声を浴びせられたこともあったが、温かかった。選手を育てようというムードがあった」と語っている。まさに、選手と一体化した応援が多いことを物語っており、関東には少ない熱狂的応援ぶりの本質を突いている感じがする。
 また、大相撲ファンで「チカラビトの国」という大相撲にまつわる随筆もある直木賞作家の乃南アサさんは、「大阪のファンは熱気がある」と評する。本場所は東京以外で観戦したことがない、というので、わざわざ春場所を見学してもらった。府立体育会館のマス席に座るや否や、乃南さんは、「力士と客の距離が近く感じる。これでは、力士も頑張らざるをえないでしょう」と話していた。
 このように、客と選手の身近さは、関西のスポーツ文化を育てる苗床になってきた。多くの名選手を輩出したのは、この一体感のある土壌によるところが大きい。賛否両論あるが、阪神タイガースの優勝を喜ぶ人々のお祭騒ぎ≠焉Aやはり同根の文化力と言えなくもない。
vol.21