医科学的な面からの「健康的な体力づくりについて」
岡田 邦夫
大阪ガス(株)健康開発センター 総括産業医
 現在の健康状態と体力レベルを維持することを健康づくりとすると、体力づくりとは、現在の体力レベルをさらに向上させることをいいます。従って、運動するにしても、その強度が異なることになります。つまり、日常生活活動レベルの強度で活動的な毎日を送ることが健康づくりであって、体力づくりは、非日常的な強度で運動をすることが必要となります。そのため、一方では運動障害のリスクについて対応しなければなりません。
 スポーツ選手を対象とした従来のスポーツ医学は、いまや健康な人や疾病を有する人を含め、すべての人を対象としているといっても過言ではありません。そのために、体力づくりを安全に進めていくためには、一定のルールを作り、それを守ることが必要です。健康な人は、自覚症状などのチェックとともに、医学的検査ならびに運動負荷試験を受け、安全で効果的な運動強度を決めることが必要です。また、疾病を有している方は、現在の病気の程度や合併症の有無ならびに運動負荷試験の結果から、まずは運動をしてもよいのかどうか、運動可能であればどのような運動の種類、強度、頻度が
望ましいのか、さらには、薬物を服用している場合には、食事や薬物服用時間と運動を実施する時間帯を医師から指示を受けることが望ましいといえます。当初は、運動強度を低めに設定し、徐々に望ましい強度に上げていけば安全でしょう。頻度についても、Pollockらの報告にあるように、最初は1回15分くらいのジョギングを週に1〜2回位から初め、その後1回30分で同じ頻度にすれば、持久力は向上しますし、運動障害発生の確率も低くなります。運動の効果は、強度が強いほど大きいというわけではありません。運動障害という思わぬ伏兵によって余儀なく中断、というリスクを避けるために、スポーツ医学があるのです。また、持久力をつけるためには、筋力と柔軟性のバランスも必要です。健康的な体力づくりは、栄養と同じように、量(過食)、バランス(偏食)、進め方(欠食、早食い)などを考えて実施することによって、その目的を達成することができるのです。
 体力づくりをする前に、あなたは、活動的な日常生活を送っていたのでしょうか。