高血圧とライフスタイル
岡田 邦夫
大阪ガス(株)健康開発センター 総括産業医
 高血圧は糖尿病、高脂血症と合わせて三大生活習慣病と呼ばれています。その原因としては、過食や過剰な塩分摂取、運動不足などがあげられていることから、これらに適切に対応することによって予防することも可能です。
 The Osaka Health Surveyの結果から、男性サラリーマンで、通勤時の片道歩行時間が21分以上で、将来の高血圧発症の相対リスクが29%減少することが明らかとなりました。また、週1回の積極的な運動習慣を持つことにより、38%の発症リスク減少も明らかとなりました。運動不足は、まさしく高血圧の危険因子なのです。さらに、尿酸と高血圧発症についても、尿酸値が高くなればなるほど将来の高血圧発症の危険度が高まることも明らかとなりました。現在高血圧の合併がなくても、高尿酸血症を有している方は、良好なコントロールを保つことが高血圧予防の視点からも重要です。
 また、高血圧に関する最近の知見として、2003年に発表された「高血圧の予防、発見、診断及び治療に関する米国合同委員会の第7次報告」において、「速歩(最低30分/日、週の内ほとんど毎日)といった定期的な有酸素運動」の実践で、収縮期血圧が4〜9mmHgの
低下が期待されるとしています。さらに肥満者は、適正な体重を維持することによって、つまり、減量することによって5〜20mmHg/10kgの収縮期血圧の低下が期待されるとしています。そのほか食事療法により(果物、野菜の摂取、脂肪摂取量の減少など)により8〜14mmHg、ナトリウムの摂取制限で2〜8mmHg、アルコール制限で2〜4mmHgの収縮期血圧の低下が期待されます。
 また、最近話題となっている睡眠時無呼吸症候群も高血圧を引き起こす原因として注目されており、短時間睡眠では翌日の血圧上昇が認められ、長期に続くことによって、脳・心臓疾患による死亡率も増加することが報告されています。
 現代社会はストレス社会とも言われており、私たちは数え切れないストレスに取り囲まれて生活しているといえます。しかし、取り巻く環境の流れに押し流されて自分を失ってしまっては健康という貴重な財産を失ってしまうことになります。生活環境にながされることなく、多くの研究成果を一つの目安として、自分自身でコントロールして健康を維持することが現代人の知的護身術といえるのではないでしょうか。