健康づくりのための身体活動
岡田 邦夫
大阪ガス(株)健康開発センター 総括産業医
健康づくりには、栄養、運動、休養が三本柱とされています。が、ここでは健康づくりのための運動について述べてみます。運動といいましても、日常生活の中に組み込めるものが健康づくりの基本となりますので、一般的には身体活動という表現のほうが好ましいといえます。「健康づくりのための運動所要量策定検討会報告書」には、毎日行う場合の1日の運動時間として、速歩(100m/分)25分、自転車(18キロ/分)25分、ジョギング(120m/分)20分が適当な例として挙げられています。この報告書からもわかりますように、健康づくりに関しては、どのような運動をするのかではなく、どのくらいの運動をするのか、つまりどのくらいのエネルギーを使うのかが大きな課題となっているのです。事実、アメリカの研究(paffenbargerら)では、週当たりの身体活動量が500kcal以下の群の死亡相対危険度を1とした場合、500から999kcalでは、0.78、1000から1499kcalでは0.73、1500から1999kcalでは0.63と順次減少傾向にあることが示されています。また、1999kcalを1とした場合には、2000kcal以上では、0.72と危険度は減少していることも示されてます。このように強度ではなく、身体活動量が死亡危険度と関係しているのであれば、こまめ に体を動かして消費エネルギーを高めるようにすればいいということになります。一方、時間がないという人は、強度の運動を短時間すればよいということで、健康状態、年齢、体力などを考慮した運動メニューを自分自身で選択すればいいのです。また、この研究では、たとえば、50〜59歳では、週当たりの身体活動量が500kcal以下の群の死亡相対危険度を1とした場合、500〜1999kcalでは0.86、2000kcal以上では0.64になることが示されています。35〜49歳、1、0.97、0.79ですが、60〜69歳では、1,0.63、0.53とそれぞれ順次危険度は低くなっているものの、加齢とともに、身体活動量は、大きな影響力を持つことが示されています。
 ただ、同じ研究者の報告では、うつ病に対しては、週当たり15kmの歩行によって危険度が0.88に低下するのに対して、週当たり2500kcal以上の身体活動量の場合は0.72となっています。自分のライフスタイルにあった身体活動を自分でアレンジして、そして実践することが心身両面の健康づくりに有効であることがわかります。つまり、生活習慣病、心の病気を予防するには、毎日の身体活動量を増やすこと、週に1、2回は汗を流すような活動的な運動・スポーツをすることが必要である。