vol.14

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大阪スポーツ王国
第10回おおさか生涯スポーツコンベンション
科学的な健康づくり
地域生涯スポーツ推進協議会
なみはやスポーツ振興基金
モッピークラブ、モッピー指導者会
障害者スポーツ
(財)大阪府レクリエーション協会だより
府民スポーツ・レクリエーションフェスティバル
21世紀生涯スポーツ社会づくりへの提言
子どもたちへ
スポーツの価値を伝承する
〜「人財」となる師の存在〜
大阪教育大学教育学部 助教授
永松 昌樹
 米国では「学校体育の切り捨て」が子どもたちの肥満化の要因となっているという報告が話題となった。カリフォルニア大学バークレー校のジョアン・イケダ教授(栄養学)は、成績重視の教育が子どもたちの健全な発育発達に支障をきたすと警鐘を鳴らす。子どもが安心して身体活動を楽しむ、スポーツへの誘いを安全に実践できる空間として「学校」の存在は大きい。
 わが国では、子どもたちの体力低下が今年も報告されたが、政策として地域スポーツの振興に「クラブ創造」を掲げる現在、それとは交差するように欧米諸国は学校を活用したスポーツ教育に関心が集まっている。「保健体育」以外の教科を担当する教師がスポーツ指導者の資格を取得するための費用を補助するという英国の動きは、子どもたちが必ず出会うことになる「教師」への期待感の高まりをあらわすものではないだろうか。「武士道」を著わした新渡戸稲造は、「私を生んだのは父母である。だが、私を人たらしめるのは教師である。」と記した。
 生涯スポーツというコンセプトは、「学校体育と社会体育」という場や世代の違いをもとに定義した時代から抜け出し、時系列的にも連続性を唱おうというものである。と同時に、スポーツを活用して子どもを育むという意味は、家庭と学校、学校と地域、地域と家庭、こういった空間が横断的に連続することであり、これらの空間で「知・徳・体」がバランスよく成長することである。
 「空間」(Side)という概念をルールに適応し、No-sideやOff-side/On-sideという言葉が使われるラグビーフットボールの文化的なアイデンティティーは、勝利という結果よりもプレイできる経過に喜びを感じることにある。Gentleman(紳士)とサムライ(武士)の教育プロセスに類似性を見出すこともできそうだ。
 「ラグビーは子どもをいち早く大人に成長させ、大人にいつまでも子どもの頃の魂を抱かせる。」(ジャン・ピエール・リーブ:元仏代表チームキャプテン)
 地域でのスポーツに携わるすべての大人が、「師」としてスポーツの楽しさを教えることのできる「財」となり、その・人・財が活動することができる「空間」と「仕組み」の創造に着手すべき時期を迎えている。