体力トレーニング
大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科 体力科学 梅林 薫
 体力とは何か?体力を分類すると、防衛体力と行動体力とがあります。防衛体力とは、暑さ、寒さに対する抵抗力が強いとか、病気の原因などに対して抵抗したり、適応する能力のことをいいます。行動体力とは、外界に働きかけていく身体の能力であり、作業能力とか、運動能力というものをいいます。この行動体力とは、行動を起こす能力(筋力、パワー)、行動を持続する能力(筋持久力、全身持久力)、行動を調整する能力(平衡性、敏捷性、柔軟性など)があります。スポーツや運動を行う上では、この行動体力が最も重要となりますが、行おうとするスポーツの特性を把握すること、またどのような人を対象にするかによっても、強度や回数、頻度を考えることが必要となります。一般の人を対象として健康づくりを目的とする運動は、酸素を十分に取り込みながら行う有酸素運動で全身持久力を向上することが基本となりますが、最近では、筋力トレーニングを加えることによって、より優れた健康的な身体をつくることもできます。競技スポーツ選手にとっては、スポーツ種目の特性を知ることが必要であり、その運動が有酸素性なのか、無酸素性なのか、また、どのような体力要素を必要としているのかを把握することが重要です。
 体力トレーニングを円滑に進めていくためには、次の原則を理解しておく必要があります。
1 オーバーロードの原則
  トレーニングによって体力を高めるには、トレーニングで用いられる3条件(強度・時間・頻度)が、ある一定水準以上のものでなければ十分な成果が期待できないということです。これは、「過負荷の原則」とも呼ばれています。
2 全面性の原則
  トレーニングは、一つの種目ばかり行って、偏った身体をつくるのではなく、いわゆるオールラウンドな身体づくりが必要であり、それに加えて心身共にバランスがとれた「人間づくり」がその大きな目的となります。
3 自覚性の原則
  トレーニングに対する意識のことで、意識性の原則とも呼ばれています。それぞれのトレーニングと、それによって期待できる身体の変化を理解した上で、どのような意図でトレーニングをしているのかを自覚して行わなければなりません。
4 漸進性の原則
  トレーニングは個人の能力に応じて行うことが重要です。個人の能力に対して、あまり低すぎると効果は期待できず、また高すぎると障害の原因ともなります。よって、トレーニングの効果を期待するときは、トレーニングの質や量を少しずつ増加していくことが必要となります。
5 反復性の原則
 トレーニングは必ず疲労を伴い、これが回復したときにトレーニングの効果が起こります。しかし、疲労がとれない状態でトレーニングを繰り返すと効果が得られないばかりか健康を損ねる場合もあります。また休息が長すぎても、効果は期待できません。したがって、適度な間隔で、繰り返し、反復することによって、トレーニング効果は大きく発揮できるのです。
6 個別性の原則
  人の顔、形態、声が一人ひとり違うように、体力も人によってすべて異なります。トレーニングは、個人個人の性別、年齢、体力、スポーツ歴などを十分に理解した上で、構成され、実施されなければなりません。
 以上の6つの原則を常に念頭に置きながら、トレーニングを進めていってください。
○ トレーニング計画
 トレーニングを行う上で、どのような計画で、何に焦点を合わせていくのかは、大変重要なことです。トレーニング計画(プログラムデザイン)とは、一定の期間におけるトレーニングプログラムを決定していくことをいいます。一定の期間とは、週間計画、月間計画、年間計画、長期計画(2~5年)など様々です。また多くの大会等に出場する場合は、シーズン制をとり、オフシーズン(鍛錬期)、プレシーズン(試合前)、インシーズン(試合期)、移行期(調整期)と細かく分けて考える場合もあります。個人の目標などによっても異なりますが、しっかりとしたトレーニング計画を立てて取り組むと、その効果は大いに期待できることになります。
●関連リンク
健康・体力づくり事業財団「健康ネット」
http://www.health-net.or.jp/kenkozukuri/index.html
ふくおかスポネット(「スポーツ・健康づくりのヒント」をクリック)
http://www.f-sponet.or.jp/enter.asp
とやまスポーツ情報ネットワーク「スポーツ医・科学的トレーニング情報」
http://www.sportsnet.pref.toyama.jp/contents/qa/katore_k/index.html
子どもの体力向上ホームページ
http://www.recreation.or.jp/kodomo/